生活困窮者の支援制度について 〜子どもの学習機会にも活用できる〜

私たちの放課後等デイサービスに来てくださる子どもたちのご家庭には、生活に困っている方々が少なくありません。また、障害を抱えている、または、生活することに障害を感じている人の生活保護率が高いという調査結果もあります。

皆さんは、生活に窮している人や家庭に対して国が支援する制度といえばまず生活保護が思い浮かぶのではないでしょうか。私も同様です。

しかし、生活保護を受ける前の段階の支援があります。2015年に施行された「生活困窮者自立支援法」に基づく制度です。仕事を失った人に対する家賃に相当する「住宅確保給付金」が支給されることなどがこれにあたります。

もし、ご家庭から相談を受けたり、将来、放課後デイを卒業した本人から相談された場合を想像してみてください。決して私たちが詳しい知識を持っているわけではありませんが、こういう制度があることを頭の片隅に覚えておくことで、自治体や社協につなぐことはできます。こうした支援は、子どもたちの日常生活動作や行動、社会参加などの支援とはまた別のものです。しかし、ご家庭や本人の生活環境を整えることが発達に少なからず影響を与えることは否定されるものではないと言えます。

2022年8月22日付の日本経済新聞の記事を参考に内容をまとめます。

生活保護との違い

生活保護は最低限度の生活を保障するための制度です。生活困窮者向け制度が主に想定するのは生活保護に至る前の段階です。家賃の支給のほか、家計の相談や就労支援などで生活が困窮した状態から抜け出すことが目的です。子どもが将来、経済的に自立するために学習の支援をすることもあります。

制度を利用する手順

まず、自治体や地域の社会福祉協議会などが用意する窓口に相談します。窓口の支援員が本人の状況に応じた支援プランを作成してくれます。支援プランの作成と住居確保給付金の支給はすべての自治体の必須事業です。支援内容は自治体ごとに異なり、家計管理の指導や貸し付けのあっせん、就労に必要な訓練などの提供をすることもあるようです。

金額

同居家族の人数や住む場所によりますが、月に数万円程度です。コロナ禍で収入が大幅に落ち込む人が増えたため、支給要件や期間などの条件が緩和されてきました。

相談件数は、20年度は前年の3倍、住居確保給付金の支給額は50倍になっています。この記事を書いている段階では、コロナ禍を踏まえた国による生活資金の貸し付けなどの特例措置は申請期限が9月末で終了予定ですが、感染状況などによっては延長や再開もあり得ます。

出典:2022年8月22日付 日本経済新聞より

経営環境

福祉業界

TOP
TOP